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  使える就業規則~定年、退職~ポイント1

雇用義務年齢  

改正高年齢者雇用安定法では、原則は65歳までの定年の延長、定年の廃止又は継続雇用制度の導入を義務付けています。但し、猶予措置として以下のように段階的に雇用義務年齢を引上げていくことになります。
  • 平成1941日~平成22331日 : 63
  • 平成2241日~平成25331日 : 64
  • 平成2541日以降 65歳
  使える就業規則~定年、退職~ポイント2

在職老齢年金

60歳になり、働かなければ、万円(月額)の年金がもらえる人が、退職せずに現状のままの月給40万円の給料で働く場合、年金はどうなるのか?

(計算式)

在職老齢年金=
  年金月額-(年金月額+総報酬月額相当額-28万円)×1/2


(あてはめ)
 万円-(万円+40万円-28万円)×120円です。

つまり、この方の場合、60歳になってからの賃金をさわらずにいると8万円の年金はもらえなくなります。在職老齢年金の仕組として賃金額によってはもらえなくなることもあるのです。

   使える就業規則~定年、退職~ポイント3

高年齢雇用継続給付

次に、継続雇用した方の賃金が60歳到達時に比べ75%未満に低下した場合に支給される制度として高年齢雇用継続給付があります。

例えば、定年前に40万円の賃金をもらっていた方について、継続雇用後の賃金として24万円(40%ダウン)に減額した場合の、高年齢雇用継続給付は、

(計算式)
高年齢雇用継続給付=賃金×15

(あてはめ)
24万円×15%=36千円が支給されます。

在職老齢年金・高年齢雇用継続給付共に年金額や賃金額に応じて他の計算式を用いることもあります。


  使える就業規則~定年、退職~ポイント4

◆60歳以上の社員の賃金設計◆

嘱託社員として継続雇用をしたからといって、、賃金を大体8掛とか7掛という根拠のない下げ方はいけません。

その理由は、60歳以上の社員は、ポイント2と3で説明したように在職老齢年金と高年齢雇用継続給付という、2つの国の仕組みがあるからです。そして、この給付は、賃金額により、もらえる額が大きく異なる、あるいは、全くもらえないケースも生じます。

そのため、個人ごとに、2つの給付を最大限にもらうためには、賃金額をいくらに設定すべきかを逆算するのです。それが、最適給与計算です。

●事例:

賃金40万円の社員の再雇用後の賃金を下げる場合、約6掛けの24.9万円と8掛けの32万円にするのでは、労使双方が喜ぶのはどちらなのか?一見すると、32万円の方が、社員は喜ぶと思うのですが・・・・・

ところがなんと!結果は以下のようになります。


(社員の手取り収入比較)

項目 賃金32万円 賃金24.9万円
賃金 320,000円 249,000円
在職老齢年金 20,000円 45,600円
高年齢雇用継続給付 0円 33,341円
総収入 340,000円 327,941円
控除額 46,945円 34,588円
手取り収入 293,055円 293,353円

※減額前の年金を8万円に設定。賞与はないものとする。

(会社の人件費比較)

項目 賃金32万円  賃金24.9万円
賃金負担 320,000円 249,000円
社会保険料負担 41,075円 30878円
合計 361,075円 279,878円

※保険料は、厚生年金・健康保険・介護保険の合計の場合

●結果は・・・

(社員の手取り収入比較)
賃金40万円の社員を再雇用する場合、賃金を32万円にするより、24.9万円まで思い切って下げた方が、
逆転して、社員の手取り収入は上回ります。つまり、社員にとっては、賃金24.9万円のほうが得ということになります。

(会社の人件費比較)
賃金を32万円にするより、24.9万円まで下げた方が、会社の負担額はは月間で約8万円。年間だとなんと97万円以上もも削減できます。

賃金を下げれば下げるほど、会社の人件費負担は下がります。これは、当然でしょう。しかし、社員の手取り収入は、そう単純ではありません。その理由は、手取り収入に大きく関係する
在職老齢年金と高年齢雇用継続給付の複雑な計算式が加わるためです今回の249、000円を手取り額の最適給与額とも呼ばれています。
 

今回は、事例として2パターンを挙げましたが、実際には多くのパターンを検証し、最適賃金額を探すことで、労使双方にメリットがある賃金額を設定すべきでしょう。

ちなみに、この件に関しては、当然ながら、行政のパンフレットには掲載されていません。自社を守るためには、自らの工夫が必要となるのです。
 
 
※奈良西.comでは、高齢者の最適賃金設計のシュミレーションを行いますので、ご興味がありましたら、ご連絡下さい。



  使える就業規則~定年、退職~ポイント5

希望者全員を再雇用する必要はない

改正法後も会社に必要な人材だけを再雇用する事は認められています。

方法としては、ふるいに2回かける事で、残って欲しい人材を選抜します。2回のふるいとは、具体的には、「基準による対象者の選別」と「再雇用後の条件提示」のことです。

 基準による対象者の選別とは

改正法では、継続雇用制度を導入する場合に限り、対象者の選抜基準を定めることを期限付き措置(大企業は3年、中小企業は5年)として認めています。

しかし、会社が半ば強引に再雇用者の基準を定めても、労使協議が義務付けられているので、労働者は反発するかもしれません。

基準については、労使の判断に委ねている為、内容については原則、干渉しませんが、基準の内容が抽象的な場合(例えば、「会社が認めた者を再雇用する」)は、指導する場合があります。また、恣意的な理由で特定の人間を排除するような基準も認めらません。

 再雇用後の条件提示とは

改正法は、再雇用後の条件内容に関する記述は特ありませんので、条件に合わず、本人が退社を選択する場合でも、法律上は問題ありません。



全員を再雇用せず、人材を選抜する(フローチャート)

選抜基準を決めるために労働者の過半数代表者との協議
基準決定 話し合い決裂
労使協定締結 就業規則で基準決定
労働基準監督署への提出の必要なし 労働者の意見を聴取
《 第1回選抜 》 労働基準監督署へ就業規則を提出
基準をクリアする社員のみ再雇用対象
《 第1回選抜 》
《 第2回選抜 》 基準をクリアする社員のみ再雇用対象
再雇用後の労働条件を提示し合意した場合のみ、再雇用する。合意しない場合は退社
《 第2回選抜 》
再雇用後の労働条件を提示し合意した場合のみ、再雇用する。合意しない場合は退社
  


  使える就業規則~定年、退職~ポイント6


● 雇止めは認められるか? 

 さて、再雇用制度を導入する場合は、1年ごとの雇用契約を毎年更新することが認められているが、勤務態度が極端に悪い高齢者についても、上記の雇用義務年齢までは、絶対に継続雇用しなければならないのでしょうか?

原則は、継続雇用しなければなりません。しかし、例外的に、「能力など年齢以外を理由として契約を更新しないことを認める」としています。

この場合の法的根拠は、高年齢者雇用安定法ではなく労働基準法の「有期雇用契約の雇い止めに関する基準」から例外的に認められるものです。基準とは以下のとおりです。

        有期労働契約の雇止めに関する基準

1 契約締結時の明示事項

・契約締結の際に、期間満了後における更新の有無を明示すること。

・契約更新する場合がある旨を明示した場合は、更新する場合の判断基準を明示すること。


2 雇止めの予告

・契約を更新しない事としようとする時は、少なくとも契約期間満了する日の30日前までに予告をすること。


3 雇止めの理由の明示

・雇止め予告をした場合、また、契約を更新しなかった場合で、労働者が更新しないことの理由について証明書を請求した時は、遅滞なく交付すること。

  使える就業規則~定年、退職~ポイント 7